農業特有の会計処理: 農業の収益

農業経営

(株)こうち新みさと園芸は、高知県高知市三里地区にある園芸出荷場です。高知特産花卉のグロリオサと、ミョウガを取り扱っています。

グロリオサは web ショップでも取り扱っていますので、ご覧ください。

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今回は、農業特有の会計処理、特に農業の収益について説明します。

農業の収益

農業で収益に該当する取引は、米の販売や育成牛の販売などの売上取引、家事消費といわれる自家用に消費した農産物の家事消費取引があります。

これら本業の売上高のほか、農作業を請け負う作業受託収入や、国などからの補助収入があります。

売上取引(米、麦、大豆 など)

JA への委託販売

JA への販売は、農家が JA に販売を委託するという方法で行われており、これを委託販売と言います。この場合、販売予約をした春先に JA から農家に契約金が支払われ、実際に出荷した秋に、すでに支払われた契約金を相殺して残金が支払われます。

なお、一般の米取扱業者への販売では、このような契約金の支払は行われていません。

取引の仕訳の例(JA への委託販売)

JA に対し米 400 俵の出荷を契約し、契約金として 2,400,000 円が普通預金に入金された。

予定通り 400 俵を出荷したところ、売上代金 4,800,000 円のうち契約金として入金されていた 2,400,000 円が控除され、残額の 2,400,000 円が普通預金に入金された。

卸売業者や消費者への野菜販売

野菜を市場や卸業者へ出荷した場合や、レストラン・消費者へ販売した場合は、農産物売り上げを計上します。

取引の仕訳の例

鈴木商店にキュウリを4,500,000 円を掛け売りで販売した。

売掛金 450,000 円 が普通預金に入金された。

売上値引

売上を計上した後、販売先から値引きを要請されることがあります。この場合は売上値引とし、当該値引額を収益から控除します。

取引仕訳の例

以前に米を販売した上田商店から、納入の際に破損があったことから、6,000 円の値引きを要求された。その金額 6,000 円については、売掛金から差し引くよう求められた。

作業受託収入

農業の主な収益は農産物の販売収入ですが、近年は農作業の受託収入が増えてきています。この作業受託収益など、自己の農産物の生産に直接関係のない収入については作業受託収入として計上します。

取引仕訳の例

先に稲の刈取・乾燥調整作業を行っているが、今回、鈴木さんからその刈取・乾燥調整作業の代金として 240,000 円が普通預金に入金された。

補助金などの収入

農業の場合、国などからの補助金が出ることも多いですね。例えば、水田における転作作物の栽培を支援するための交付金などです。これらの補助金収入は、作付助成収入などとして収益に計上されます。

取引仕訳の例

水田転作を支援するための交付金 1,200,000 円が普通預金に振り込まれた。

なお、所得税青色申告決算書では、作業受託収入や作付助成収入などは、雑収入勘定を使います。

家事消費収入

農家の場合、生産した農産物を自家用に使用したり、親戚に贈答用として送ったりすることがありますね。こういった場合は、大金をもらう受ける事はありません。つまり、現物の農産物をそのまま消費することになるのです。このように代金の収受がない取引でも、事業としては収益が上がったことになります。したがって収益として計上することになるのですが、具体的には、家事消費にともなう正味財産の減少を資本金の減少として処理します。

取引仕訳の例

新米が取れたので、例年のように親戚の田中さんに米 60 kg を贈答用として送った。このときの米の見積価格は 60 kg で 1 万 5,000円だった。

なお、所得税青色申告決算書では、事業主に対する債権は事業主貸勘定を用います。

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